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の力がないので、酸素のほうだけがいきにくい、こういうことで拡散の障害は低酸素血だけに関係していると考えてよいことになります。それで、拡散障害では、低酸素血症が出やすいが、高炭酸ガス血症は出ないということです。
しかし、一般に拡散障害の検査は一酸化炭素COを用いてその肺胞から血中への拡散量DLCOで判定します。

 

4)換気と血流の不均等分布
換気が行われる肺胞の周囲に血流があってこそガス交換は行われるものです。しかし、換気が割合よくいっている肺の部分には血流がいっていないのに、換気がよくない肺の部分には血流がよくいっているというアンバランスがありますと、酸素がとり入れにくいことになります。極端になれば血流がいっていないところに換気があっても酸素のとり入れは0(ゼロ)ですし、血流が入っていても換気がなければこれもとり入れは0(ゼロ)なので、両方とも完全に起これば0(ゼロ)になって死んでしまうということになります。一般的にはその前段階で両者が入り混じって存在しているという疾患が多いのです。
いろいろな疾患でこういうことが起こっています。肺気腫とか慢性気管支炎ではこのような状態が確かめられています。また気管支喘息などでも同じです。とくに喘息発作で気管支拡張剤を吸入すると、一時Pao2がかえって低下することがあります。これは換気のいいところにだけ薬剤が吸入され、換気の悪いところには吸入されないのに薬剤のために血流量が全般的に増加し、換気の悪いほうにも増加してしまうためです。
このような換気と血流のアンバランスというのは、老齢化肺でもみられます。高齢者のPao2の正常値が低くなる原因の1つもそのためです。最近ではいろいろな薬剤の副作用で急性な間質性肺炎を起こすことが知られています。間質性というのは細胞の周囲のことで、肺胞の周りの血管とかリンパ管などの周囲をも含みます。このようなところに異常に紬

 

 

 

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